漢方薬

東京クリニックの漢方治療 〜西洋医学と東洋医学で健康を考える〜

近年、漢方はその有効性が次々と科学的に解明されるようになり、欧米の研究機関・学会も取り上げています。西洋医学と漢方医学のそれぞれの特徴を活かした新しい治療法が確立されようとしています。


漢方薬は長期間服用しないと効果がでないのでしょうか
 治療する対象により異なりますが、一般に考えられているよりは速効性があります。ただし、現在漢方治療を受ける患者さんのほとんどが慢性難治性疾患ですので、慢性疾患では効果の判定に時間がかかるのは当然で、まして完治を目指せば長期間の治療が必要となることがほとんどです。急性疾患では驚くほどの速効性を発揮することがしばしばで、急性疾患の代表であるかぜ症候群では服用直後、遅くても15分以内に頭痛や咽頭痛が楽になったり咳がおさまるなどといった効果が認められます。
効果に個人差があるのでしょうか
 通常の医薬品(西洋薬)の薬効にも個人差がありますが、漢方薬の効果にはそれ以上の個人差があります。それだけに適切な薬物の選択が必須で、そうした経験を「証」として蓄積してきましたものをもとに漢方を用います。
通常の医薬品(西洋薬)との組み合わせを教えてください
 実際にあらゆる新薬とあらゆる漢方薬が胃の中で鉢ち合わせしてまずいかどうかはわかりません。けれども一部の組み合わせでは間違いなく、薬の力価が落ちたり、化学変化を起こすことが想像されますので、避けたほうが無難です。当然、ケースバイケースで一つひとつの組み合わせについて説明できればよいのですが、十分わかっていないことも多いので、とにかく胃の中で鉢ち合わせしないほうが無難でしょう。

ストレスを科学する

  • 最近急に疲れを覚えるようになり、足腰がだるく、頭が重く、仕事に対しても、意欲が湧かなくなった。
  • 睡眠が充分とれなかったり、夜中に何度も目が覚め、朝起きるのが辛い日々が続くようになった。
  • 食欲も減退し、全身が倦怠感でいっぱいだ。
近年抑うつ状態の方が増えてます。このような場合、柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)の服用が最適です。主薬は龍骨、牡蛎で、カルシウム分を含み精神安定の作用があります。他の組成成分である柴胡、黄ごん、茯苓、半夏にも鎮静作用があります。柴胡には、催眠作用、自律神経系の調整作用があり、茯苓は消化管や組織の余剰の水分を血中にひきこみ利尿によって排除する作用を持っています。人参、生姜、大棗、桂枝は、消化吸収、胃腸の蠕動を強め全身に栄養をゆきわたらせ、機能状態を改善します。軽症のうつ病の場合、漢方治療のみでもかなりの効果がある場合も珍しくありません。半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)や茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)も良い処方ですが、疲労感が強い慢性の軽症うつ病では、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)がよく使われます。中等度以上のうつ病では、もちろん抗うつ薬による治療が基本となります。うつ病では、不眠が続いたり、自律神経のバランスが乱れた状態が続いたりで、心身共に消耗していると考えられます。このような観点から、体力を回復する目的で漢方薬を抗うつ薬に併用すると効果的な場合がよくあります。この場合、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)、十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)、帰脾湯(キヒトウ)などの処方がよく使われます。

東京クリニックの処方例

自律神経の調節作用を期待して、気剤である半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)や茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)がよく用いられます。これらの処方は、抑うつ状態のみならず不安パニック障害にも効果的です。

うつ病に伴う身体症状の改善にも効果的な場合が多くあります。例えば、喉の閉塞感や不快感には、先ほど述べた半夏厚朴湯がよくききます。うつ病に伴う頭痛では、釣藤散(チョウトウサン)が効果的な場合があります。めまいには、苓姜朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)や半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)、あるいはその合方が有効です。

産後にみられるうつ病では、環境の変化や子育てに対する不安などの要因以外に、出産に伴う消耗やホルモンバランスの急速な変化という要因も重要です。このような場合、香蘇散(コウソサン)や女神散(ニョシンサン)がよく使われます。産後の衰弱が強いときは、当帰建中湯(トウキケンチュウトウ)が良い処方です。

月経前症候群(PMS)や月経前不機嫌性障害(PMDD)も漢方治療が得意とする分野です。体質に応じて、当帰シャク薬散(トウキシャクヤクサン)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)などを使用します。

更年期障害における不定愁訴には、加味逍遙散(カミショウヨウサン)がよく使われます。

抑うつ気分が強い場合は、茯苓飲合半夏厚朴湯を用います。のぼせには、女神散黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)がよく使われます。 抗うつ薬では取り除けない身体症状の治療や抗うつ薬の副作用の緩和を目的として、抗うつ薬と同時に漢方が処方されることがあります。よく用いられるものには、自室神経系の回復のため半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)や 茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)、 釣藤散(チョウトウサン)などがあります。 また、うつ状態の疲労回復補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)、頭痛には加味逍遙散(カミショウヨウサン)や釣藤散 (チョウトウサン)、抗うつ薬による喉の不快感には半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)などを用います。

慢性疲労に使う場合
慢性疲労症候群とは、それまでは健康だった人に原因不明の強い全身、微熱、頭痛、筋肉痛、精神神経症状などが起こる状態が長期間続き、結果として健全な社会生活が送れなくなる病気とされています。最近の研究により、感染症や化学的、生物学的、社会心理的ストレスが引き起こす神経・内分泌・免疫系の変調に基づく病態であり、脳・神経系の機能障害であるということが明らかにされてきています。現在、一剤で完治できるような薬剤はありません。これまでにさまざまな治療が考えられて来ましたが慢性疲労の治療としては、漢方薬の補中益気湯(ホチュウエッキトウ)とビタミン剤の併用が効果的と考えられています。尚、発病時に神経症などの診断基準を満たす場合は、精神科の面から見ることも重要です。

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月経困難やPMSの場合
月経困難症に頻用される漢方薬には、当帰シャク薬散(トウキシャクヤクサン)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、加味逍遙散(カミショウヨウサン) などが挙げられます。当帰シャク薬散は虚弱傾向で、手足の冷え、胃腸虚弱、浮腫、貧血傾向の女性(特に10代〜30代)が適応となります。桂枝茯苓丸は中等度以上の体力で、顔色がよく、下腹部の膨満と圧痛がみられる女性(特に20代〜40代)に用いられます。20代後半から子宮内膜症、子宮筋腫などに伴う月経困難症が増えますが、このような器質的疾患による月経困難症にまず試みられるものです。加味逍遙散は体力がやや弱〜中程度で、めまい、肩凝り、冷え、不眠・イライラ・頭痛などの更年期様精神症状を呈する女性(特に30代〜40代)に効果的です。

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肥満症に使う場合
人口の1割以上が「肥満症」に該当すると言われていますが、現在保険適応される「西洋薬」は、残念ながら食欲中枢抑制と満腹中枢刺激作用のあるマジンドールしかありません。しかもこの薬剤は投与期間が3ヶ月間に限定されており使用が難しいものです。
そこで、わが国の伝統医学である「漢方薬」に目を向けると、意外なことに「肥満症」の適応症を有する保険適応の薬剤が存在しています。それが防風通聖散(ボウフウツウショウサン)という漢方薬で、麻黄、甘草、荊芥、連翹、ほか合計18種類の生薬より構成されています。このうち、麻黄はエフェドリンを多く含み、甘草、荊芥、連翹にはカフェインより2.5倍強力なホスフォジエステラーゼ阻害作用があります。前者は交感神経終末からノルアドレナリン放出を増強し、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞のアドレナリン受容体を活性化します。後者はノルアドレナリンの効果を持続させる働きがあります。
つまり、防風通聖散は「白色脂肪細胞での脂肪分解作用に加えて褐色脂肪細胞を活性化させて、脂肪燃焼効果を発揮する」という明確な薬理作用を有する薬剤ということになります。防風通聖散は肥満と合併する便秘、高血圧の随伴症状(動悸、肩こり、のぼせ)にも効果がみられ、もちろん、先に述べたように「肥満症」そのものの適応症を取得しています。

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慢性胃炎に使う場合
現在用いられている消化管運動機能調節薬は主に胃排出促進作用が中心となっています。漢方薬の六君子湯(リックンシトウ)も胃排出促進作用を有しますが、食欲不振や心窩部のつかえ感を改善することから、食後の噴門部弛緩能を高めるのではないかと考えられ、慢性胃炎患者に六君子湯投与前後の症状の改善度を検討するとともに、体外式超音波法を用いて飲水負荷後の噴門部面積を測定し、六君子湯の噴門部弛緩能に対する効果を評価しました。その結果、六君子湯は早期満腹感、食事に伴う腹満感などの噴門部弛緩能が関わっていると考えられている症状を改善するとともに、低下した噴門部面積を有意に拡張させました。六君子湯はシサプリドを対照薬としたモデル動物を用いた試験でも胃貯留能改善作用があることが示されています。最近、逆流症の成因として噴門部弛緩能の異常が指摘されていますが、六君子湯がこの異常を改善することから、胃酸分泌抑制薬で十分な効果がえられない逆流症にも効果が期待されています。

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アレルギー性鼻炎の場合
鼻アレルギーの起因抗原はスギ花粉が多いですが、ヒノキ、ハンノキ、ブタクサなどの花粉による重複感作も増えています。また都市の大気汚染、気密性の高い住居などの環境要因も大きく関わっています。さらにストレス等の心因的要因が加わることにより、複雑な病態となっています。最近では低年齢化傾向も目立っており、小児期からの長い人生を鼻アレルギーに悩む方も多数いらっしゃいます。医療機関を受診する花粉症患者を対象とした調査によると、現在受けている治療に「不満足」と回答した人が73.7%もいました。鼻アレルギーの治療は一般的に、ケミカルメディエーター遊離抑制作用をもつロイコトリエン拮抗剤、トロンボキサンA2拮抗剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤、鼻内噴霧剤が用いられます。漢方薬ではいくつかの処方が適応しますが、現在、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)が最も汎用されています。

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頭痛に使う場合
一次性頭痛の場合、治療薬としてエルゴタミン製剤、トリプタン系薬、NSAIDs、抗不安薬、筋弛緩薬、抗うつ薬などが用いられますが、患者さんにより、必ずしも奏効するわけではなく、副作用が発現することもあります。漢方薬は、慢性機能性頭痛が続く場合や、西洋薬での治療が行き詰まった場合、あるいは患者さんに胃腸障害やアレルギー体質がみられる場合などが良い適応となります。緊張型頭痛で高血圧傾向、または脳血管障害後遺症などの場合、釣藤散が第一選択となります。片頭痛には呉茱萸湯(ゴシュユトウ)、五苓散(ゴレイサン)などが適応します。

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